今回は私、小間使いJJ(中国語読みのイニシャルです)の思い出のお茶について書きます。
思い出のお茶はこちらです。
茶名 氷島(Bingdao)
茶種 普洱生茶
産地 雲南省
思い出のお茶は、お茶会に来ていただいている皆様に不人気のプーアル生茶です(笑)。
2019年の10月の出来事です。中国に住んで4年目、中国語の日常会話もまあまあできるようになり、せっせと中国茶の勉強をしていたころでした。中国茶学校の学友(日本人)と二人で、上海のお茶博覧会に行きました。
ちなみにお茶博覧会は、色々な団体が催しているので、年に数回あちこちで行われています。この時は、「上海展覧中心」というところで実施されていました。
この時のお茶博は、広東省の紅茶である永徳紅茶に力が入れられている印象でしたが、試飲しても美味しいものに当たりません。それでは、と美味しいプーアル茶を探すことにしました。その頃、プーアル生茶が美味しいと思ったことはなく、勉強のために飲んでいたという状態でした。
大手の製茶会社のブースはとても派手な作りで、そのお茶はあまりにも高値なので、会場の端っこのほうの地味なブースに行ってみました。そこで、愛想の悪い昆明出身のお兄さんのお店を見つけました。その時の中国語の会話を再現すると・・
お茶屋:飲みたいものがあれば試飲できますよ。
私.どれでも試飲できるのですか?
お茶屋: は?何?
私.どれでも試飲できるのですか?
お茶屋: 何言ってるかわからない、あなたたちどこの出身?
私.中国人ではありません、日本人です。
お茶屋: は?何?
私.日本人です。外国人です。
お茶屋: 何言ってるかわからないけど、どれか飲みたいものある?
私:これが飲みたいです(氷島の小沱茶を指さしました。値段は書いていませんが、高いことは間違いありません)
お茶屋: わかった 淹れるから飲んでみて。
この時のお茶は、私にとって初めての感覚でした。口に入れた時はとても強い刺激がありましたから、まだ若いプーアル茶なのでしょう。ですが、それを飲み込んだ瞬間か、そのすぐ後に刺激がぐわ〜っと甘みに変わるのです。美味しいというより、すごいお茶だ、と思いました。
私.これ、すごく美味しいですね。
お茶屋: は?何? (まだ通じない)
私:いくらですか?
お茶屋: 1個128元だよ (通じたらしい 2500円位)
私:え?すごく高い。(当時の私はそんなに高いお茶は買ったことなかったのです)
お茶屋: 1個8.3グラムあるから、2回飲めるよ。
私:でもなあ・・・ちょっと高いなあ。
お茶屋:では、こちらの紅茶はどう?
ということで、手頃な値段の雲南の紅茶を購入しました。
私:でも、こんなに高いものを試飲させてもらったので、やっぱり1個だけ買います。
お茶屋:高いから買わなくてもいいよ。あなたたち何言ってるか全然わからないから、飲んでもらうしかなかったんだよ。そのかわり、あなたたちの故郷の人たちに、氷島がどれだけおいしいか宣伝してね。
私:はい、わかりました。
その後、プーアル茶の茶畑の写真などを見せてもらい「雲南に来たら畑に案内するよ」と言ってくれました。しかし、相変わらずこちらの言葉はほとんど通じず。
すごいお茶に出会えた喜びとともに、自分の中国語が雲南省の人には全然通じないんだ・・と落ち込みながらブースを出てたところ、隣のブースの少数民族の衣装を着た男女から声をかけられました。
あなたたち日本人?中国語上手だね!雲南の食品はどう?
どうやら通じる人には通じるようです。
その後、氷島を飲む機会は数回しかありませんが、あの時のようなすごいお茶には出会えていません。まさにお茶は一期一会。どうして買っておかなかったかな、10個くらい買っておけよ!と、当時の自分に言いたいです。